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IrukaTact: Submersible Haptic Glove

Aisen C. Chacin (日本)

Category : STUDENT
By Aisen C. Chacin (日本)

IrukaTact: Submersible Haptic Glove

IrukaTactは、水中に沈んだ物体の位置を特定するのに役立つ「水中型触覚探査グローブ」です。イルカのエコーロケーション(反響定位)に着想を得て作りました。超音波距離測定器を使い、水中や浸水区域の地形を探査し、ユーザーの指先に信号を発信します。信号の強さは、ユーザーと物体の距離によって変わり、物体に近いほど強くなります。

指先のパッドには、繊細な動きもとらえるレセプターが取り付けられています。信号は、水の粘性を利用して作っており、ユーザーは振動や張力を感じることができます。モーターが周囲の水を吸い、指先のパッドの上を水流が流れ、ユーザーは、蛇口から流れる水に指を当てているような触感を感じます。

IrukaTactは、水中でも自然な感覚で手を使えるようにデザインされています。人差し指、中指、薬指に装着して、親指と小指は自由に動かすことができます。

このデバイスは、水中にある物体の位置を探査する以外にも、様々な範囲に応用可能で、水中で触覚のVR装置としても使用できます。Iruka Tactの設計図は、オープンソースで公開しており、洪水時など視界が明瞭でないときの水中での救助活動に役立ちます。

http://aisencaro.com/iruka.html

制作プロセスと使用機材について

IrukaTactの見た目と肌触りはイルカに着想を得ており、波やヒレを意識して各パーツをデザインしました。
試行錯誤の結果、装飾部はTinkercadでデザインし、ポリジェット方式3Dプリンターで作成。音波発生機はユーザーの手のひらと平行に動くようにデザインされ、シリコンチューブや密閉コンジットの伸張に合わせて動く特殊な蝶つがいが、手首部分の電子機器のケーブルを繋いでいます。

メンバー

Collaborator, EMP Student
大図岳
Professor, Faculty of Engineering Systems, EMP
岩田 洋夫 

JUDGES, COMMENTS

  • 田中浩也

    田中浩也

    田中浩也
    慶應義塾大学環境情報学部教授、SFCソーシャルファブリケーションラボ代表

    とても真面目に技術開発をされているデバイスだが、どことなく詩的(ポエティック)で、本人の内面や空想、思いや願いがにじみ出ているような点を評価したいと思う。また、世界各地をノマド的に渡り歩き、「旅」を続けながらもプロジェクトを継続されているという活動のスタイルに、Fabとの思想的共通性を感じる。

  • Natalia Arguello

    Natalia Arguello

    Natalia Arguello
    コンサルタント

    学生部門賞受賞おめでとうございます!若いデザイナーやクリエイターが3Dプリンターを使い、社会の課題を解決し、インパクトを与えるものを製作していることを証明するような作品です。今後研究を続けていき、より発展したものを見られるのを楽しみにしています。Iruka Tactはまだ始まったばかりですが、素晴らしい出発点だと思います。

  • Nicolas Lassabe

    Nicolas Lassabe

    Nicolas Lassabe
    Artilect 共同設立者、ORCAS共同設立者

    離れていても直接触れずに水中の物体を感じることが出来る、自然にインスパイアを受けたこの手袋を、ぜひ使ってみたいと思います。最初はどのように応用して活用するのか疑問を持っていましたが、イノベーションやリサーチはたいていこうやって始まります。
しかし、最後にはこの手袋は、水中でのコミュニケーションや、指を使ったダイバーへの指示などに使用できることに気づきました。

  • Singh Intrachooto

    Singh Intrachooto

    Singh Intrachooto
    建築家、OSISUデザインプリンシパル

    学生が発明した、素晴らしい作品だと思います。見かけのデザインよりも、海中探検ができる技術だというところを評価しました。また、海中生物が人間に触れられることで受ける影響を減らせるという可能性にも期待できます。本作品を使えば、直接触れなくても感覚が伝わるので、いたずら好きな人でも、海中の世界を楽しめますね。

  • Kyle Li

    Kyle Li

    Kyle Li
    パーソンズ美術大学 プログラムディレクター

    私が真っ先に気に入ったのは、本作のフォームファクターです。指の部分はマクラガイを連想させ、その輪郭はフォームファクターと機能に詩的な繋がりを持たせているように思います。水中で使えるこのウェアラブルは、信号変換をまったく新しいレベルへと進化させました。深さの情報を触覚でユーザーに伝えたり、他にも重要な水中のタスクにも使えます。3Dファイルとarduinoコードは製作者のwebサイトに掲載されているので、皆さんも自分で作ってみましょう!

  • 四方幸子

    四方幸子

    四方幸子
    クリエイティヴ・キュレーター

    イルカという知的哺乳類の知覚をFabを通してシミュレーションする、という発想が興味深い。水中で超音波を介して触覚で体験する試みは、特定の環境における空間や情報把握の実装へ向けたプロトタイプであるとともに、何より他の生き物や環境への想像力を喚起するという未来に向けた重要なビジョンを提供している。加えて、日本と米国の学生が連携して開発したという側面も評価した。このプロジェクトの今後の発展に注目している。

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