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ノガミカツキ

Category : GENERAL
By ノガミカツキ (日本)

Profile

ノガミカツキ

92年製アーティスト。新潟県長岡市出身。

モントリオールのコンコーディア大学Topological Media Labのメンバー。

ベルリン芸術大学でオラファーエリアソンに師事。武蔵野美術大学卒業。

文化庁メディア芸術祭19th新人賞、ArsElectronicaサウンドアート部門選出、学生CGコンテスト20thグランプリ、ifva21th silver award、アジアデジタルアート大賞2015優秀賞、FILEやWRO、Scopitone等海外メディアアート祭に出演。VICEにアーティスト特集、WIREDやDesignBoom、装苑、映像作家100人、Forbes U30など多数メディア掲載。group_inou等のMVや、CMなどを多数制作。

What did you create?

この作品では、オンラインからオフラインへの変換を行い、相手を欺こうとしている。多種多様な手書きの文字が自分で書かれているが、全て私が手書きのフォントをトレースした。サイン、顔ID、指先、声、Facebook の名前、すべてのID をコピーすることができる。私が14 歳のとき、いつも友達のブログを荒らしていた。表面上では友達だった彼らはのことを、私は内心では嫌っていた。また、チャットで女性のように振舞ったり、別の自分を描いていた。この匿名のコミュニケーションは、私に何か不安を引き起こした。それが私の、オンラインとオフラインの二重生活の始まりだった。その経験から、私は自分のアイデンティティについて考え始めた。鑑賞者はスパムレターを購入することができ、展覧会の後に彼らの家へ郵送する。鑑賞者は彼らの手書きでスパムテキストをコピーできる。鑑賞者は新しいスパムテキストを作成して会場のポストに投函できる。それを私が他の人に郵送する。このスパムメールのトレース作業は、写経を模したものだ。写経は自分自身を振り返るため、あるいは聖典を注意深く辿ることによって精神的幸福を達成するために、一語一語トレースをする。そして、私たちの心は無我の境地に至るという。つまり、スパムメールでの写経作業も、自分を無くしてスパムメールの教えの通りの人間になるのだ。

Why did you make it?

手書きの文字が少なくなり、botがつくった文章が溢れる中、あたたかみを感じると言われている手書きの手紙に変換したら、あたたかみを感じるのだろうか。AIブームの昨今、人間以外の意思によって決まるものがある。文章は定型文で予測入力していき、まるで自分はそれに追随しているだけのようだ。英語にする際は、日本独自のナラティブで可笑しな文章を、さらにgoogle翻訳している。誤変換してテクノロジーの歪みの塊のような文章が生まれた。映画「Her」で人間が文章を考えて出力する代筆サービスがあった。しかし実際は、人工知能が文章を考える構図になるだろう。人工知能と人間の違いはなんといっても身体であり、手で書くという行為は人間にしかできない。いつかこの行為が無くなり、大昔のノスタルジーブームとして貴重視され、書く事のできる人間が重宝されるかもしれない。人工知能と人間の関係性を探る試みだ。ウォーホルが大量生産品で資本主義社会の未来を示したが、可視化されないスパムメールの総量はデータ社会における資本主義社会を示している。emailのおよそ45%がスパムメールだと言われている。メールアートはネットアートの先駆者とも言われている。河原温の”i got up”では、彼が旅先などで朝起きた時間と場所を記載して送りつけている。emailが世界の時間をまるで均一にした事に比べ、ここでは時間差で生まれる現在が強調されている。メールアートとネットアートを組み合わせたemailを手紙に書き直す行為は、インターネットをもの化する事でタイムラインで消費されている現代の時間を切り取る行為だ。以上の点から、アートの文脈においてこの作品は同時代的な作品だといえる。

How did you make it?

自分のメールフォルダや、有名なスパムメール、スパムメールを集めたサイト、展覧会で観客から集めたスパム、などを集めた。トレース台に便箋を置いて、様々な手書きフォントをなぞり書きをした。