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Spring-Pen

Spring-Pen

田中賢吾

Category : STUDENT
By 田中賢吾 (日本)

作品について

Spring-Penは、ソフトな書き心地のスタイラスペン(タッチペン)です。
ペンにバネ構造を組み込むことで弾力性が生まれ、ブラシのような感覚が味わえます。
バネ構造は、3Dプリンタで作成した3DCADを使用し、断面サイズを変えることによって柔軟性を調整しました。

制作の動機

近年タブレット端末が普及し、スタイラスペンを使用して画面を操作するユーザーが増加しました。
特にデジタル画や文字の描画にはスタイラスペンが欠かせませんが、画面に触れる感覚は硬いものがほとんどです。
そこで、ペンの柔らかさを自由に調整し自分の好みに合ったペンを作れる方法を考えました。
デジタルファブリケーションの利点は、誰でも簡単におのおのに合ったものをカスタマイズして作れることです。データの作成と方法を共有することで、3Dプリンタがあれば誰でも短時間で低コストな製品ができ、自分に合ったソフトタッチペンを使用することができます。

制作方法

3DデータはFusion 360で作成しました。バネのコイル部分の断面は円形で、四角にすることもできます。その結果、約1cmの直径を有するバネでも、3Dプリンタできれいに出力することができます。スタッキングの精度が3Dプリンタよりも熱成形において優れていたため、最終的にはフォトフォームが使用されました(Form 2)。
光造形用樹脂には導電性材料が存在しないため、導電性ガラスビーズ(UBS-0010LAg)を取り付けてあります。そのため、静電容量方式のタッチパネルにも反応します。コイルの断面の大きさと段数を変更することで、さまざまな柔らかさのタッチペンを作ることができます。

使用したツール

3D printer, 3D Modeling and Design Software

MEMBER メンバー

デザイナー
田中賢吾
デザイナー
小池栄美
デザイナー
橋爪智
デザイナー
大嶋泰介
Professor
落合陽一

JUDGES, COMMENTS

  • 田中浩也
    慶應義塾大学環境情報学部教授
    SFCソーシャルファブリケーションラボ代表

    UIデザインといえばスクリーン上のデザインであることが多いですが、フィジカルな道具の部分にFABが介入することによって新しい体験が生まれることを示してくれました。

  • Julia Cassim
    京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab. 特任教授

    デジタルビジュアライゼーションの可能性を広げてくれる、シンプルで直感的な素晴らしい製品です。これは「ありそうでなかった」発想ですね。

  • 福原志保
    アーティスト
    BCL 共同創設者 、Poiesis Labs CEO

    あるようでなかった、これか!というアイデアで、これぞイノベーションだと思います。コンセプトは普通に見えるかもしれませんが、大きな組織ではなかなかできない発想や開発だと思います。作品をみたひとは「ああ、なるほど」と素直に納得できますが、面白いことに、今まで誰もやったことがない。すごくシンプルで効果的なところが、コロンブスの卵のような発想でイノベーティブだと思います。