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Restology

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Restology Project

Category : GENERAL
By Restology Project (メキシコ)

作品について

「Restology」は、環境にやさしい材料を使って環境汚染を減らすプロジェクトだ。 「Restology」は、成分中に活性炭を含むゼラチンベースのバイオプラスチックであり、空気中の汚染物質を化学的に誘引し吸着する能力がある。適切な物理的および化学的特性を有するものを見つけるため、多数の配合を試験した。完全な生物分解性を持ち環境にやさしい性質を保ち、適切な気孔率および高い吸着率を得るため、ラボでの試験で分析が行われた。 「Restology」は、水、植物性グリセリン、豚皮ゼラチン、および活性炭を用意すれば簡単に家で作れるレシピだ。私たちのソリューションが他より際立っている点は、開発期間中、環境に正のインパクトを与えるため、ライフサイクルが終わった後、材料が痕跡を残さないということだった。これは製作に有機物を使用することにつながった。有機物は環境に害を与えるより、微生物の成長に栄養と基質を提供するものだからだ。この微生物はバイオプラスチック自体を分解するのに役立ち、堆肥として処理すると酵素分解により付着した汚染物質をより害のない物質に変える。 もう1つの重要な側面は、複製の容易さとプロジェクトがオープンソースであることだ。これにより、より広い範囲で、地球上のどんなユーザーにも、清潔な空気で呼吸するためのソリューションへのアクセスが容易になる。 広くソリューションの改善を開始するため、私たちはバイオプラスチックのため、下記2つの初期応用法を開発した。 屋内:屋内のものに接着でき、清潔な空気を提供するフレキシブルなモジュラーパネル。屋外:構造物を通る空気を清浄にするために内部に気流が集中するよう設計された、私たちの開発した材料で覆った構造的コンクリートモジュール。

制作の動機

空気は人類にとって、間違いなく最も基本的な必要物だ。最初の産業革命以来、人間は持続可能でない製造技術や材料を使用し、環境に配慮しない消費を習慣とした結果、常に環境をひどく汚染してきた。毎年、大気汚染に関連する健康問題による死亡者数が増加している。そのため、私たちはこの問題に取り組み、実際に環境に対して目に見える結果を出せる解決策を開発する必要があると感じた。 私たちのプロジェクトは、メキシコのモンテレーで急速に大気汚染が進んだことに触発された。この100年で、この都市は山間の素朴な都市から、ラテンアメリカで最も汚染された都市になった。産業化により私たちの都市が成長および繁栄したことで、私たちはそれに起因する問題に取り組む必要性を感じ、汚染された大気を浄化する簡単で使いやすいソリューションを提供するよう努めた。こうした理由から、私たちはそれが実際に汚染された大気を浄化できることを保証するため、材料を非常に厳格に検証した。 私たちの未来へのビジョンは、人々が環境とそれに及ぼしている影響についてよりよく知り、私たちのようなプロジェクトが、環境問題へのアクセス可能で実行可能なソリューションを提供するような世界で暮らすことだ。

制作方法

この研究と開発された資料に基づき、屋内向けと屋外向けの2つの応用例を提案した。 屋内:パネルはGrasshopperによりデジタルで作成され、型板はHorizontal RoughingソフトウェアのRhinoCamにコーディングした2つのパラメータを用い、厚さ12mmのアクリル板で製造した。その後Parallel Finishingに設定したパラメータを用いて精細度40%のパターン図を作成する。 形状はAlan Turingの反応拡散系モデルを用いて作成された。このモデルは空間内に拡散した2つの化学因子の相互作用をシミュレートする。この関係で、成果物の形状はパネルに彫られたテクスチャを反映するため、表面積を増やすこともできる。 屋外: 形状は20cmx20cm程度の六角形をベースとした。分析とそれを研究した結果に基づき、六角形の中に穴をあけ空気が通りぬけることを可能にし、接触面積を増加させた。六角形内部は、異なる長さをもつよう意図している。内径は成果物の中央を通る気流とは異なる。これらの細かなバリエーションは、伝導と形状内を通過する空気流を制御できる。 型を工夫するには、確立された方法でデザインを視覚的に解釈するため、最初に形状を3Dで設計して生成する必要がある。3Dモデルの準備が完了すると、ピースのオフセットが作られて型の側壁が生成される。次に、2mmの平らな金属シートをウォータージェットでカットするため、フラット(2D)のピースの各面からなる分解図が生成される。そしてラッシュを曲げ、ピースねじで止めて組み立ててコンクリートを充填すれば、内部のものの柔軟なコーティング材としてバイオプラスチックで覆うことができる。

仕様

パネルは、Grasshopperでパターンを適用して六角形を形成し、様々なタイプのカーブを制御することでデジタル作成した。パターンの挙動に影響を及ぼす格子構造を作り出し、ギャップを小さく、より明確に定義できるよう、中心に穴を作りパネルのバリエーションを試験した。 デザインは自然な形のパターンから考案され、デジタルアルゴリズムから精密化された。 このパネルは約50x50cmのフレキシブルでモジュラーなコーティング材として機能し、ユーザは任意の面に設置することができる。パターンに含まれる様々なレリーフと用途の多様性は、あらゆる内部空間にユニークな美的価値をもたらす。簡単に設置でき、生態系への影響も少ない。 型板の金型製造は、Horizontal RoughingソフトウェアのRhinoCamにコーディングした2つのパラメータを用い、厚さ12mmのアクリル板で製造した。このソフトウェアでアクリルの大部分を1/4Flatmillビットでラフに削り出す。その後Parallel Finishingに設定したパラメータを用いてパターン図を作成する。このソフトウェアは90分で1/8″”Ballmillビット、精細度40%のパターン図形を作成する。 バイオプラスチックのライフサイクルは廃棄方法に依存し、使用方法は屋内または屋外のアプリケーションにより変化する。屋外環境でライフサイクルを延長しうる材料を調査した結果、最も利便性の高い材料はセメントとバイオプラスティックとの組み合わせであることがわかった。 金型製造、コンクリートとバイオプラスチック混合のプロセス:レーザーカッティングを使用してプロトタイプ金型を作成した後、2Dで形状の最終的な図面を作成してウォータージェット切断する。コンクリートを金属成形品に流し込み、硬化時に塗料として形状の内側にバイオプラスチックを流し込む。ラボで走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、内側のバイオプラスチック面への流れの影響を試験する。 モジュールは気流と圧力、吸着レベルを可能な限りを最大にして材料の特性を最大限に生かすため、Fluid Flowソフトウェアを使用して作成された。

メンバー

Verónica Saldaña Garza, Priscila Luna Ramos, Ada Gloria González, Ana Graciela González, Ana María Vargas, Andrea Lizette Najera, Barbara Garza Saldaña, Carla Ruiz Velasco, Cristina Briones Nuñez, Dana Mayeli Rangel, Estefanía Flores Jiménez, Kathia Quintanilla García, María de Lourdes Hernández, María Luisa Becerril, Mayra Valeria Moreira, Melissa Chapa Gil, Oscar Javier Alvarado, Roberto Luis Valenzuela, Sara Eugenia González, Juana Valeria González.

JUDGES, COMMENTS

  • Julia Cassim
    京都工芸繊維大学
    KYOTO Design Lab. 特任教授

    材料科学者とデザイナーによる学際的な共同作業の好例で、方法論のプレゼンテーションには細部までこだわり、この新しいエコフレンドリーなバイオプラスチックが研究され製造されたプロセスがプロジェクトをさらに素晴らしいものにしています。新しいバイオ製品というのは、確かに証明できるエビデンスもほとんどなく、ごく少量で複数のシナリオを試みてみることなど不可能な状態にも拘わらず、人間が作り出した悪しき問題をすべて解決してくれるかのように紹介してしまうことが余りに多くあります。チームは構造のクラッディングに対する説得力のある例を作り出しました。様々な製造ソリューションが可能になるような、もっと細線化した反復法のマテリアルを見ることができれば素晴らしいでしょう。