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Fish Hammer

Fish Hammer

Neil Mendoza

Category : GENERAL
By Neil Mendoza (アメリカ)

作品について

金魚がハンマーを操作し、ミニチュアサイズの家具を粉砕する。

制作の動機

人間は海を破壊することを好む。このフィッシュハンマーは人間の所有物を破壊する力を魚に与える。

制作方法

金魚が水槽の中を泳ぐと、ウェブカメラがその位置を捉える。これにはopenFrameworksとOpenCVを使ってC++でプログラミングされたソフトウェアが使用されている。ハンマーは、モーションステッピングモーターを動力とした台車に乗っており、水槽内の金魚と連動して動く。ソフトウェアは、PIDアルゴリズムを使用してモーターがどの程度速く動かなければならないのかを計算する。このPIDアルゴリズムは、エンコーダ位置をインプットし、速度をアウトプットする。この速度計算結果はUDP形式でステッピングモーターに送信される。ハンマーはカムに隣接しており、そのゆっくりとした回転を利用して振り下ろされる。フィッシュハンマーはAutodesk Fusion 360とAutodesk Inventorを使ってデザインされた。製造にはウォータージェットカッターとCNCフライスが使用されている。フィッシュハンマーの作動装置を自作する方法も紹介する。本プロジェクトは、Autodeskの素晴らしいアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの一環としてスタートした。

仕様

アルミニウム、電子装置、水槽

JUDGES, COMMENTS

  • Gerfried Stocker
    アルスエレクトロニカ総合芸術監督

    “Fish Hammer”は、観る者を微笑ませてくれると同時に、熟考させてもくれる作品です。ユーモアのセンスにあふれながら、それでいて可笑しいというだけではない。舞台効果を考え巧みに書かれた脚本を持つ、大変思慮深い芸術作品であり、人新世(アントロポセン)における主要課題や、人類が自然にもたらす影響のなかで持続可能かつ責任あるバランスを見つける、という今日の我々の取り組みをちょっと変わってはいるが効果的な方法で扱っています。 観ている私たちは人間がハンマーを制御している魚だと思うかもしれませんが、生態系の相互関係がそれほど単純ではないことがすぐに分かってきます。そして、ハンマーに打たれるのはむしろ自分たち人間の方なのではないか、と。 ニール・メンドーサ氏は、全作品において一貫して質の高い、大変興味をそそられる作品を制作されてきました。審査員はこの点も高く評価し、氏に賞を授与することを決定しました。

  • Julia Cassim
    京都工芸繊維大学
    KYOTO Design Lab. 特任教授

    不条理演劇の領域というのは真面目な疑問を呈するのに最適な場であることも少なくない。例えばこの素晴らしい作品の裏にあるものや、Neil Mendoza氏が応募した他の刺激的な作品がその良い例だ。これら全てに、くだらなくも見事な技術実現、機械部分やヴィジュアルなどの細かいディテール調整を行おうとする意志が見られ、複雑さという面でより昇華されたものとなっている。ドールハウスにあるようなチャチなおままごとの家具を取り入れたこの作品の美的センスは、まさに製作者の「狙い通り」のもので、魚以外にも動物や虫の王国が我々人間への復讐を果たすといった、本作品とまったく同じコンセプトをベースにした別バージョンの作品もありうるかもしれないという想像をかき立てられる。