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NIMBY (Not In My Back Yard)

NIMBY (Not In My Back Yard)

高嶺格

Category : GENERAL
By 高嶺格 (日本)

Profile

高嶺格
1968年鹿児島県生まれ。秋田県拠点。
社会のなかで見えなくなっている問題を、自身の個人的体験や身体的感覚に引きつけて、映像・インスタレーション・舞台等様々な媒体で浮かび上がらせるアーティスト。*例えば、恋人との関係を出発点に朝鮮人強制労働の痕跡を遺すマンガン坑道跡で制作した《在日の恋人》や、近所の海岸に漂着した移民船を題材にした《歓迎されざる者》には、他者の理解という言葉では片付けられない、作家自身のもどかしさや痛みが伴っている。*彼の作品は、ある種の居心地の悪い状態に観客を置き、その帰属意識を鋭く問うてくる一方で、そこに不恰好な身体を介して、それでも他者を希求する愚かで温かい人間らしさが見え隠れする。

What did you create?

望遠鏡の形をした映像鑑賞デバイス。望遠鏡を覗いたときと同じように、筒を向けた先の景色が見える。しかしそこに映るのは眼前の景色ではなく、リアルタイムの景色でもない。作者の経験した風景、沖縄の辺野古ゲート前で土砂の搬入を阻止するデモの風景である。全方位カメラで撮影された映像は、「望遠鏡を覗く」行為により、ヴァーチャルでありながらもリアルな身体的感覚を引き起こす。この作品はキューバのハバナビエンナーレ2019で初出され、あいちトリエンナーレ2019で新バージョンが展示された。ハバナから見える沖縄、愛知から見える沖縄。遠くのものを近くにあるように見ることのできる望遠鏡の特性を応用し、物理的距離を「心理的距離」に置き換えるために制作された映像デバイスである。

How did you make it?

秋田(高嶺)・山口(YCAM三浦氏)・札幌(SCARTS岩田氏)の三名で制作。基本プランを制作したのち、デバイス設計は札幌と遠隔協議。躯体を秋田で作り、それを札幌に送って映像ユニット/センサー部分を組み込んだ。ユニットは3Dプリンターで制作。プログラムは山口で制作し、最終的に現地のハバナで組み上げた。