2020年度 審査結果発表受賞作品を見る

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Plumial Space

Nestor Pestana with Deborah Tchoudjinoff

Plumial Space

Concept

私たちは一時間あたり3千7百万個の微生物を体から放出しており、これは「 microbial plume(微生物噴出)」と呼ばれている現象である。(引用:イェール大、J.Qian)

「Plumial Space」は没入型の装置で、観客は自らの微生物噴出のシミュレーションを体験できるインスタレーションおよび装着可能なプロトタイプである。 この作品の中では微生物噴出が私たちの文化にどのように作用しうるかをシュミレートするため、未来のシナリオの中の人間をスペキュレーションし、その原型を作品として具現化している。 微生物噴出を作り出す微生物は私たち一人ひとりに固有のもので、現在の科学ではそれを利用した人体識別方法の開発が進んでいる。

このプロジェクトでは、微生物噴出を用いた人体識別の技術が日常生活の一部となった未来を表現している。このインスタレーションでは様々な未来のヒトのアーキタイプが微生物を体内に封じ込めたり、拡散したり、誘引したりすることで外見を変え、人間の自己表現や行動新たな方法として使用されるというシナリオを示している。 私たちが自分自身をどのように理解するか、また、他者と環境とどのように関係を結ぶかという問いに対し新たなアイディアを反映させている。

あなたや私を含むすべての生命はそれぞれの身体を超えて存在し、生態系を超え、環境にまで拡大している。個人は超複合有機体のなかの一つの存在であり、私たちが属する集団の中に数百万の部品があるからこそ存在することができる。集団的な社会行動は、私たちの身体に住み着いている微生物のアイデンティティ(ウイルス、バクテリアやその他微生物)がどのように共有されているかによって生じる。私たちは個体として切り離されているかもしれないが、決して孤独ではないのだ。

 

*このプロジェクトは、ファッション・スペース・ギャラリーが主催する4か月間のファッション研修の成果であり、サスティナビリティとイノベーションに焦点を当てたアーケード・イーストの夏のプログラムの一部である。

*アーキタイプとその外見について:

アーキタイプ#1 – 追跡不可タイプ 追跡不可タイプは、自分の微生物データが自分の環境や物、出会った人を通じて他人に知られてしまうことを警戒している。自らの微生物の正体を追跡されないために、微生物の散布を制限する装着可能な機械を用いる。例として、人間の身体の中でも腕には微生物の広い多様性があるため、追跡不可タイプはここを覆っておくことを好む。彼らは動きを制限するように特別に設計された機械を身につけ、微生物を拡散する可能性を減らしている。微生物は銀の小さな構造体の中に収めており、寿命を縮めている。

アーキタイプ#2 – 拡散タイプ 拡散タイプは、自らの微生物噴出をすべての物と人に散布させることを目的としている。すべての物、すべての人が自分のアイデンティティの一部を保持していることを確認したいと考えている。彼らは腕を開いたり閉じたりする際に微生物の拡散を容易にする機械を装着する。この装着可能な機械は布地にミシン目がデザインされているため微生物は広範囲に放出される。

アーキタイプ#3 – 詐欺タイプ 詐欺タイプは、接触してくる他人の微生物噴出を引き受けることに興味を持っている。どれが最良の結果になるかが分からないため、様々なアイデンティティを試してみたいと考えている。詐欺タイプは、微生物の噴出の交換に参加するよう他人を誘引する機械を装着している。機械を持ち上げて、溝の中に立つよう人を誘うことができる。参加した者の微生物は、機械の表面に集められる。その後、微生物は成長のために集められる。そして詐欺タイプの身体に移動され、微生物の噴出を交換する。

Nestor Pestana

London, U.K.

ベネズエラ生まれの教育者、デザイナー、マルチメディア・アーティストで、イギリスとポルトガルを拠点に活動。 仕知識の交換、批判的思考、生涯学習を促進するために科学者、技術者、その他の実践者とのコラボレーションを頻繁に行っている。 アヴェイロ大学(ポルトガル)でデザインの優等学位を取得し、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(英国、2015年)でデザイン・インタラクションの修士号を取得した。 私の実践は、技術、エコロジー、政治に関連する現代的で新しい問題への批判的な関与の必要性に焦点を当てている。 これを促進するために、私はストーリーテリングの方法論として、デザインフィクション、推測、世界構築を使用している。 物語は、動画や小道具/オブジェのデザインを含む様々なメディアを通して表現される。 私はこれらの手段を用いて没入型の体験を創造し、訪問者が提示された物語や問題に積極的かつ批判的に関与することを目的としている。 主な展覧会は以下の通りである。 「The Museum of Lost and Found Potential(遺失物取扱所の可能性の博物館)」- WellCome Trust協賛(ロンドン、2019年)、「Authentic Fictions: Speculative Futures for 2.5D Printing(真のフィクション:2.5Dプリンティングのための思索的な未来)」- DLab東京ギャラリー(東京、2019年)、「Plumial Space(プルーミアル・スペース)」- ファッション・アーケード・イースト、ロンドン大学(ロンドン、2018年)、「Night school on Anarres: Imaginings of an Anarchist Utopia(アナ―ルの夜の学校:テロリストの理想郷についての想像)」- サマセット・ハウス(ロンドン、2016年)、「Economics of Uncertainty, Future of Labor(不確実性の経済、労働の未来)」- ベネチア・ビエンナーレ2014。

nestorpestana.com  Instagram: pes_nes

Team

Collaborator: Deborah Tchoudjinoff Commissioned by: Ligaya Salazar Arcade East, LCF Arts Programme: Kat Thiel and Saphia Abrahamovitch-Venner Creative Technologist: Mouhannad Al-Sayegh Technical support: Holition and Digital Learning Lab Sound Design: Sam Conran Advisor: Raphael Kim Garment production: Radvile Kisieliute Pattern cutter: Yevgeniya Melnyk 3D technician: Holly Shaw